令和5年度 ロンドン会議

ISO/TC94/SC14事務局

Ⅰ. 開催日時

月日 曜日 9:00-17:00
2/5

TC94/WG2会議

2/6

TC94会議

2/7 TC94/SC14会議
2/8 TC94/SC14会議
2/9 TC94/SC14会議

Ⅱ. 出席者

ISO/TC94/SC14副議長小林氏、国内審議委員会WG1主査辻氏、WG2主査園部氏、鷲本氏、ヘルメット主査渡辺氏、CIR主査藤波氏、RPD主査池田氏、事務局城田氏

Ⅲ. 議事録

2月5日(月)TC94/WG2(頭部保護)会議

ISO3873(産業用ヘルメット)のCDコメントレビューが実施された。1977年版初版後初めての改正となるため、側部保護を取り入れた規格となる。側部保護範囲について全面を保護する提案がされたが、ISO11999-5と相当の保護範囲とすることで合意された。その他、あご紐性能、試験方法の相違があったが具体的な試験方法を確立出来なかったため、DISに進み、そこで議論することになった。

2月6日(火)TC94会議

<TC94/WG1>

新しいConvener (Stephan Dain, Australia)を迎え、ISO/TS 20141 (Compatibility)  改正についての討議が開始された。

修正点に関するコメントシートを集めたうえでどのように方向性をとるか討議を行う。スイス、オランダ、日本、オーストラリアが小グループ討議に参加し土台を討議する予定。この規格はISO11999-2 (Compatibility)の親規格に相当するので、内容の推移には注意を払うべき内容。

<TC94 Plenary>

午後にPlenary meetingが開催され、N574 Draft agendaに基づいて、審議が進められた。日程の案内について、TC94とTC94/SC14WGの開催が合わさって案内がされていたため、一部のTC94参加者に誤解を与えたため、議長より説明がなされた。

その後は前回の議事録の承認、Secretary Report各SC及びWGからの報告などが行われた。

SC14にて問題になっているPG Contaminantsについて議長より説明があり、背景と今後の方向性が提案された。ISOのTPM(Technical Program Manager)から進め方について提案があり、SC14にて検討されることとなった。

2月7日(水)ISO/TC94/SC14会議

<ISO/DIS 11999-9 防火フード>

日本からは快適性能(水蒸気透過性)についてのみコメントを提出。北米規格を採用しているイギリス、オーストラリア、アメリカ、カナダより熱防護性(火炎ばく露、放射熱曝露)の規格引上げとオプションであった微粒子防護性能の必須化が提案され受け入れられた。日本への影響は構成生地の熱防護性アップに対応する増量と微粒子防護性のあるフィルター素材の追加による快適性能の低下とコストアップが懸念される。

<ISO/DIS 23616:CIR> (9:00~12:00)

DIS投票時のコメントについて審議を行った。

プロジェクトリーダーが抽出したディスカッションが必要としたコメントに関して集中的に討議した。

日本にとって不利益になる変更点はなかった。

審議内容を反映した上でFDIS投票へ進むことをWG会議で審議することになった。

<WG2会議>

- ISO11999-1 9:00-10:30

DIS投票時のコメントについて審議を行ったうえで、FDISに進むことが決定した。
日本から提出した技術的コメントについておおむね理解を得られた。
一方で、11999シリーズにおいて各パートの進捗が一様でないため、引き続き、全体を通じて確認をしていく必要がある。

- ISO11999-2   11:00-12:30

CD投票時のコメントについて審議を行ったうえで、DISに進むことが決定した。
オーストラリア・イギリスの要望をいったんは受け入れISO/TR 21808を参照する内容に書き変わることになるが、内容についてはスイス・オランダなどの国が疑義を感じており、DIS投票前に事前に討議を行う予定。
4月末までにDIS提出の予定。

- ISO 11999-10 (RPD)

他の11999シリーズと同様、PG Contaminantから、Introductionに「消防士の癌リスクが高まっており、WHOからもその危険性が指摘されている」旨の文章を差し入れるRecommendationが提出された。当該PGの正当性に疑問があったので問い質したところ、事務局及びTC94議長から「手続きに問題ない」との回答があった。また、「11999-10はISO 17420-5を基にしており、17420-5にはその様な文章は無いため、Introductionに入れるべきではない」と申し入れたが、「ISO 17420-5の要求事項には何ら変更が無く、この文章をIntroductionに挿入しても17420-5を変更するものではない」との反論を受けた。最終的には参加国間での投票があり、当該文章の挿入は承認されることとなった。

その他、オーストラリアから「FF4は危険なので、要求事項レベルから削除すべき」とのコメントがあったが、ISO 17420-5の変更につながることから否認された。

結果として我が国が主張する「2つの要求事項レベル(FF4及びFF5)」は確保され、DISレベルへ進む。

- ISO11999-5 13:30-17:00

今回、我が国で議論の焦点になったのは、「浸漬絶縁性試験」である。この試験はヘルメットを水の中に沈めて電極をヘルメットの外と中の水中に入れ、通電させ、その抵抗値を図るものである。しかしながら、日本の防火帽は、FRP製であることと金属製のリベットが高い位置に使われており、本要求事項は合格できない。

目標は、EN443と同様に「要求事項をオプションとする」ことで、表面抵抗が低ければ、不意に触れた電流は体の表面を通電し、靴からアースされるため、浸漬絶縁性は不要と言う主張、多くのヨーロッパ製品も不合格となり、ユーザーの選択範囲を狭める結果となることなど、大半のこの議論に割いたが、最後には参加者国単位での挙手による投票が行われ、その結果は、①強制要求事項に賛成3か国(ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ)、②反対国1カ国(日本)、③棄権2カ国(ドイツ、オランダ)と言う結果になり、FDISに進む結果となった

2月8日(木)ISO/TC94/SC14会議

- ISO11999-3   9:00-17:00

各国合計191項目のコメントのうち、104項まで進んだ。

残項目については、次回のボルドーで議論される予定。性能要求に関わる変更は以下の通り。

    • 防火服における検査窓の必須化。

    • リストレットの要求事項がオプション試験から必須試験に変更。

    • 高視認性材料に係る性能要求が必須からオプションに変更。

    • 微粒子防護性能のオプション試験化検討。

    • 洗濯方法における製造業者の指定の許容。(日本からの要求)

    • 耐炎性試験の洗濯指定が洗濯前から、洗濯前後となった。

日本の懸案事項である熱防護性、洗濯収縮、RET、生地重量、耐溶融金属については、次回の10月の会議で議論される予定。

2月9日(金)ISO/TC94/SC14会議

<ISO/DIS 11999-4 手袋>

日本からは接触熱防護(湿潤時の断熱性)、耐薬品浸透性(加圧法)の2項目について、高すぎる要求性能変更コメントを提出。結果としてコメントは受け入れられずFDISへ進むことになった。日本への影響は構成材料の増量と耐薬品性の高い防水膜への変更により、操作性の低下とコストアップが懸念される。

<ISO/DIS 11999-6:防火ブーツ>

ISO/DIS 11999-5:防火手袋のコメントレビューが想定よりも時間を費やし、タイムアップとなり防火ブーツのコメントレビューは、後日単独でバーチャル会議を行う事を提案され、賛成とした。当日は、安全靴工業会の粂が改めて参加する。

単独バーチャル会議日程:2024年2月29日(木)18:00~20:00(日本時間)

<WG1会議>

PGコンタミナンツの状況報告があった。
ロンドン会議までの活動内容(N1108)が読み上げられた。
それに対して日本からアドホックグループの立ち上げを提案した。
事前に提示されていたTS案については、今後NWIPの投票が行われる予定。

 

- ISO/DIS 23616

水曜日の審議内容の報告が行われた。
DIS投票のコメントに対応をした上でFDIS投票に進むことが合意された。
今後は汚れ落ちの評価に関して検討を行っていく。

- JWG 24588 CBRN

FDISで反対投票が多く成立しなかった。
審議時間が十分にないため、解散する。
SC13とのJWGも解消し、SC14で改めて審議をしていく方向で合意された。

- SR(定期見直し)/ ISO 18640-1、SR/ ISO 18640-2 (発汗マネキン試験)

SR投票の結果の報告が行われた。Confirmが多数であるが、改正の声も上がった。
今後の進み方を注視する。

- 測定の不確かさについて

SC14のすべての規格において、測定の不確かさを導入する。
現時点では日本に直接的な影響は無いが、認証制度など各地域または国の規格において影響がある国は多い。

以上